磯蔵酒造(笠間市稲田・磯信子社長)の磯貴太専務はこのほど会見を開き、近年、同蔵が大きなテーマとしてきた「地元産酒米による酒造り」を追求するため、2005年春、念願の「本物の地酒を育てる会」(通称・地酒会)を結成したことを発表した。

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 地酒会は、名称の (酒米印)が示すように酒米を作る農家と酒蔵が、顔の見える関係の中で、日々言いたいことを言い合いながら米作りや酒造りを実践。より旨い地酒を造ることはもちろん、誰がどこでどのように作ったものなのか分かる素材だけを使用することで、さらに安心・安全な、責任ある「本物の地酒」造りを行い、一人でも多くの人に地酒を楽しんでもらおうというもの。「地産地消」を文字通り字(地)でいく団体だ。

 初年度となった昨年は、同蔵近隣の13件の農家が「日本晴」や、その他酒造好適米等を中心に約600俵に上る酒米を生産。同蔵はこれら地元産の酒米を使用し、人気酒「稲里辛口」(全量)をはじめ「稲里(本醸造)」(全量)や「秀撰」等を仕込んだという。「どこの誰がどのように造った米かわかるだけでなく、『こんな酒米にして欲しい』と農家さん達と一緒に米作りをすることができたため、昨秋集荷した酒米は、たいへん満足のいくものとなりました」と磯専務。

 同蔵の畠山杜氏は「今年は蔵の香りが違う」と、例年以上に手応えを感じている様子。さらに磯専務は、「巡回指導でいらした鑑定官の先生からは『普通酒とは思えないもろみの香り』と驚いていただき、長年お付き合いいただいているお得意様からも『今年の酒粕は色も香りも今までで一番』と嬉しいお声をたくさん頂戴することができました。この新聞を発行する頃には、地元産酒米による新酒も発売されていることでしょう。新酒が皆様にどのように飲んでいただけるか楽しみでなりません。是非ご意見をお聞かせください」と話す。

 米作り酒造りと同時に地酒会では、お互いの仕事を本音で叱咤激励し、明日の仕事への活力を培うため、定期的に宴会(酒席)を開催。毎回、消費者代表として地元各界からゲストを招き、「地酒」をキーワードに、楽しく、時には厳しい意見交換を地元のお座敷、畳の上で行う。2月18日、笠間市の「割烹天よし」で開かれたた第一回目の宴会には、同蔵の畠山杜氏がゲスト参加。酒造期が終わると地元岩手で農家を営む畠山杜氏との米作りや酒造りの苦労話に花が咲き、予定時間をオーバーする盛り上がりを見せたという。

 同蔵は今後も、地酒会とともに、さまざまな酒米や酒造りにチャレンジし、最終的には使用する酒米を100%地元産という、同蔵創業当時の姿に戻したい考えだ。その中で「山田錦」等栽培が難しいとされる品種にも挑戦していきたいとしている。

 「酒造りや米作りは一朝一夕にはいきません。ましてや酒も米も一年に一度きり。人の一生に何回できるかと考えれば、私達だってあと何回できることやら…。今さらながら、当蔵が無くしかけていたものの大切さと、それを取り戻すことの大変さ、そして酒(米)造りの難しさや奥深さを身に沁みて感じている」と磯専務。同蔵のこれからに、ますます注目したい。

磯蔵酒造有限会社/茨城県笠間市稲田2281番地の1/電話(0296)74-2002