他:ロックで大人気/地酒完成金賞受賞試飲コーナー誕生


茨城県ひたちなか市の「国営ひたち海浜公園」をステージに、毎年夏おこなわれるロックコンサート。今年初の試みに県産品のお食事コーナーが開設された。自ら音楽好きの貴太専務がこの誘いに乗らないわけがなく、かり出されたスタッフとともに磯蔵の夏もそうとう熱い物になった。
写真提供・国営ひたち海浜公園
 磯蔵酒造有限会社(本社・笠間市稲田、磯信子社長)はこのほど、国営ひたち海浜公園で行われたロック・イン・ジャパン・フェスティバルで、ひたちなか市場 みなと屋地酒ブース『磯蔵』を出店。20代の若者を相手に、稲里ベースのカクテル『ロックインジャパン・さくら』などを販売し、3日間でカクテル1500杯、稲里400杯を売り上げた。大成功に終わった理由は何か。開催当日までの磯蔵スタッフの奮闘を追った。




 8月1日から3日まで、ひたちなか市の国営ひたち海浜公園を舞台に開催された『ロック・イン・ジャパン・フェスティバル』。音楽イベントとしては、国内最大のおよそ12万人を集客するなど、毎年、盛大に繰り広げられ、若者らの間では「夏の風物詩」として定着するほどの人気ぶり。
 ある関係者によれば、同社の磯貴太専務は、この「若者だらけ」のフェスティバルへの参加を、開催一ヶ月前「誘われるままに決めた」という。何が磯専務の心を捉えたのかは、開催から二ヶ月が過ぎようとする現在も不明だが、イエスと言ったその日から、磯蔵スタッフの悪戦苦闘の日々が始まった。

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 開催10日前。地元の陶芸家らの協力を得て、枕木と大谷石のカウンター、古い酒樽でできた照明、古材を利用したメニューボードなど、「それはそれは飲みたくなる雰囲気の素敵なBAR」(磯専務)が完成した。「後は何をどう売るか。青空の下、若者にどう稲里を飲んでもらうのか」。同氏は真剣に悩んだという。そうした中、「キーワードは『ロック』と『ジャパン』。ロック=氷、ジャパン=日本酒。そうだ日本酒のロックはどうだろう。その名も『ロックインジャパン!』」というアイデアが生まれた。早速、主催者に伝え、快諾を得た。

 開催3日前。『ロックインジャパン』の試飲会を実施。吟醸、純米、本醸造に氷を入れた『ロックインジャパン』を前に、スタッフは「うまいっ!」「イケるっ!」。試飲会場が一気に盛り上がる。喜びもつかの間、誰かが「これって従来の日本酒好きはいいけれど、それ以外の若者はどうかなぁ? 女の子もどうだろう?」とボソリ。結局ふりだしに戻ってしまった。

 開催前夜。会場の最終チェックを終えたものの、肝心の酒が決まらず、途方に暮れる磯専務は、行きつけのの立飲みBARで、一人自棄酒を飲んでいた。「こっちの気も知らず、カウンターは若い女性達で賑わいを見せている。ずいぶん飲んでいるようだ」と、いつもの癖で、何を飲んでいるのか大胆に覗いてみたところ……




……女性客の飲んでいるピンク色の液体。思わず聞いた磯専務。「マスターあれ何?」「桜のリキュールをベースにしたカクテルです」。「桜か……若い女性はあんなカクテルが好きなのか」とつぶやくと同時に、ひらめきが走る。「こっ、これだっ!」。日本の素材『桜』を使った新感覚のカクテルっ!!それを日本酒ロックをベースに作る!!「その場で『マスターっ 稲里をベースにカクテルを作ってくれ』と叫んでしまいましたよ」と、記者の肩を揺すらんばかりの興奮さで話す同氏。こうして『ロックインジャパン』が出来上がったのだと、二ヶ月が過ぎた今なお涙を浮かべる。
 さぁ当日。驚きの結末やいかにっ 

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 当日は、「一夜漬け」で完成した稲里ベースのカクテル『ロックインジャパン・さくら』(すっきりとした桜色の微発泡稲里カクテル)、勢いあまってできてしまったという『ロックインジャパン・抹茶』(緑茶色した優しい甘さの微発泡稲里カクテル)、さらにマスターお薦めの稲里カクテル『すだちトニック』(稲里のトニック割にすだちを搾るさっぱりカクテル)を引き下げて会場入りを果たした。「もちろん『稲里』の各ラインナップも忘れちゃいません」と商魂のたくましさはさすがだが、併せて、レシピを教えてほしいと詰め寄る記者に、「企業秘密です」と同氏。どうやら紹介するほどのものでもないらしい。

若者との日本酒談義に花が咲く地酒ブース「磯蔵」
 いよいよ開場。緊張するスタッフの後ろで、心配のあまり右往左往する磯専務。そこへ最初の客が来た。「ロックインジャパンをください」「ロックイン……」「ロック……」想像を絶する売れ行きに、磯蔵スタッフも慣れないカクテル作りに大忙し。客からは「えっ! 日本酒っすかコレ?へぇ〜でもウマイッすねエ」という感激の声が飛び出す。あまりの売れ行きに、ビデオ撮影スタッフが来店するほどの盛況ぶり。3日間でカクテル1500杯を売り上げ、1日100杯を目標にしていた磯蔵にとっては「嬉しい大誤算に終わった」という。

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 翌日、後片付けをしながら「日本酒って、日本酒とか、清酒という呼び方をやめたらすごく売れるかもしれない」、展開によっては若者にも十分、日本酒は受け入れられると誰もが確信し、磯専務が明日の日本酒を語ろうと拳に力を込めた瞬間、「3日間の日当は出ますよね」とスタッフ。このクールさが、磯蔵最大の武器と言えるだろう。
 最後になるが、肝心の日本酒稲里は400杯を売り上げた。「茨城にもこんなうまい酒があったんだと、若者に飲んでもらえたのが嬉しい、大健闘でしょう」と、磯専務。声を張り上げて泣く場面もあり、周囲はしらけムード一色に包まれた。


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磯蔵酒造有限会社/茨城県笠間市稲田2281番地の1/電話(0296)74-2002